「平成」の次は? 新しい元号はどのように決まるのか
天皇の生前譲位問題におけるさまざまな疑問を解決
高齢譲位までに準備し公表される新元号
それでは、皇位の継承があった場合に限り改められる元号は、これから「高齢譲位」が行われる際、どのように決められるのでしょうか。これも今後の検討課題ですから、今のところ判りませんが、私は次のようになるかもしれないと推測しています。
まず従来のように天皇陛下の崩御という最も悲しい事態を密かに予測しながら、ごく内々に進められてきた改元の準備が、かなりオープンに行われてよいだろうと思われます。
もちろん、候補名の考案者は従来どおり公表しない方がよい(公的な元号が特定される考案者の評価で左右されない方がよい)とすれば、誰に委嘱するかは伏せられることでしょう。
しかし、譲位の時期が内定されましたら、それより一年ほど前から行われる準備の一つとして、政府が改元の作業に入り準備を進めている事実は、ある段階で公表されてもよいのではないかと思われます。
また、おそらく半年ほど前までに数名の考案者から提出される文字案は、内閣官房官のもとでの担当関係者が丹念に精査して整理し、三案ぐらいに絞り込みます。さらに3ヶ月ほど前、その三案を皇室会議と日本学士院および衆参院両院議長などに諮って、最良の一案が選ばれることになるのではないでしょうか。
その上で、遅くとも1ヶ月ほど前までにベストな新元号案を閣議において内定し、今上陛下と皇太子殿下に上奏して、正式に公布することにします。そうすれば、譲位の日までに官庁や銀行および報道機関などでも書類や情報データなどの切り替え作業ができます。
やがて譲位当日、すなわち新天皇の践祚日から新元号を施行する、というような運びとなれば、かなりスムーズに改元が完成するものと思われます。
なお、元号(年号)の出典は、従来すべて漢籍(中国の古典)でした。しかしながら、日本で作成された漢文著作(勅撰の六国史や漢詩文集など)から採ることも考えてよいのではないか、という案を坂本太郎博士(東大名誉教授、文化勲章受章者)が早くから内々に提示しておられました。
また、元号(年号)に使用する漢字は、従来かなり厳しく制限され、最近まで七十一字に留まっていました。しかし「平成」改元の際、「平」は過去11回も使われてきましたが、「成」は新たに採用された一字です。
従って、次回からは、これまでの七十二字を基本としながらも、「国民の理想をあらわすにふさわしい」「書きやすい」「読みやすい」という要件に叶えば、新しい文字を加えてもよいのではないかと思われます。